当科は、成熟期から更年期・老年期までのすべての女性の疾患を、豊富な臨床経験を持つ専門医が診療にあたります。子宮がん、卵巣がんなどの悪性腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症などの良性疾患、加齢とともに骨盤底組織が弱くなることによって子宮や膀胱が腟から脱出してくる骨盤臓器脱などを、患者さんそれぞれの症状に沿って手術療法や薬物療法を選択し治療させていただきます。また、妊娠希望の方にも生殖医療のエキスパートが診療にあたります。男女7名の産婦人科専門医からなる私たち女性診療科チームに安心しておまかせください。
子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣良性腫瘍:エコー、MRIなど画像検査で診断し、手術や薬物療法を行なっています。手術は主に腹腔鏡手術、ロボット支援手術で行いますので、術後の痛みも少なく、臍以外に腹部に5mm〜1cmの小さな傷が3ヶ所のみで傷跡もあまり気になりません。
無月経・月経不順:原因がホルモン異常なのか、子宮や腟が欠損しているなど器質的に異常があるのかを精査します。子宮・腟欠損を認めるロキタンスキー症候群や性腺異形成などでは手術療法を行うことがあります。ロキタンスキー症候群では腹腔鏡で造腟術を行います。
ターナー症候群:ターナー症候群や年齢とともに小児科から婦人科に移り、定期検査やホルモン治療などを行う移行医療にも対応します。
更年期障害:平均的な閉経年齢は50歳前後ですが、閉経前後の約10年間は女性ホルモンの一つエストロゲンの分泌が低下してくるため、ほてり、発汗、急な寒気、頭痛、疲れやすい、イライラ、不眠など様々な症状が出てきます。不足したホルモンの補充療法や漢方治療などを行います。単なる更年期障害を治療するだけでなく、骨粗鬆症やフレイルの検査を行い、健康寿命の延伸を目指します。
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当院女性診療科では早期婦人科がんの症例には積極的に腹腔鏡やロボット補助の低侵襲手術でQOLの低下を防ぐ治療を行い、外来で厳重に経過観察を行っております。2021年4月より導入されたロボット補助手術は良性あるいは悪性腫瘍症例150例ほど経験し、極めて良好な治療成績と合併症の少なさであります。
癌検診
頸癌検診:癌検診としての積極的な細胞診・HPV併用検診の実施ならびにコルポ診による精密検診などが中心的取り組みであります。あくまで子宮を温存する試みを推進し、「やむを得ずの子宮頸部円錐切除すら必要がないように」という心構えで検診を行っています。子宮頸部異常の症例には液体窒素による子宮頸部上皮異常に対する冷凍療法を開始し、7割以上の症例で細胞診異常またはHPV陽性が陰性化しており、2022年12月現在ほぼ150例到達しました。
内膜癌・卵巣癌検診:超音波、内膜細胞診、内膜組織診での診断を行っており、できるだけ疼痛の少ない診断・治療を行っています。要すればCT・MRIの追加も行っており、PET/CTも適応があれば随時行っております。
チーム医療
入院あるいは外来での化学療法としてTaxol/CBDCA療法、Bevacizumab投与、PARP阻害剤服用など、遺伝子検査としてBRCA、HRD、MSI-H検査など、また家族性腫瘍の疑いがある症例にも対応すべくカンファランスを積極的に行っております。
緩和ケアチームを立ち上げ将来の外来・病棟設立を目指し日々研鑽を積み重ねています。
※ 時計台記念病院 健診センターからのお知らせ
2023年4月よりは婦人科検診のオプション検査にHPV検査が加わりました。超音波検査や内膜細胞診などにより健診の充実を図っております
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膀胱や子宮、腸管が腟壁を通して飛び出してくる骨盤臓器脱は、頻尿や逆に尿が出にくいなどの症状を伴い、女性のQOLを損なう疾患です。2007年当科開設とともに、骨盤臓器脱に対する手術に取り組み、これまで約3000例の骨盤臓器脱手術を行っています。さまざまな手術がありますが、最近は腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)とロボット支援下仙骨腟固定術(RSC)がメインになりました。加齢とともに骨盤底を支える筋肉や支持組織が弱くなり、膀胱や子宮が腟から脱出するとともに、肛門から直腸が飛び出してくることもありますが、直腸脱も腹腔鏡下で手術しています(腹腔鏡下直腸固定術)。
当センターは骨盤臓器脱のすべての手術が可能であり、患者さんごとに最適な術式を選ぶことができます。尿失禁や便失禁に対する手術や治療にも対応しています。
また手術だけでなく、骨盤底筋体操、骨盤臓器脱予防のためのセルフケアの指導などを、専門の看護師、理学療法士などチームで取り組み、患者さんのより良い生活をサポートしています。
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