麻酔は手術を受ける患者さんの苦痛を取り除きます。われわれ麻酔科医は手術中はもちろん手術前後の時期を含めて患者さんの苦痛を取り除きたいと考えています。苦痛とは具体的には痛み(肉体的苦痛)と不安(精神的苦痛)です。痛みを取り除くために全身麻酔と区域麻酔を組み合わせた麻酔をします。できるかぎり不安も和らげてあげたいのですがこれがなかなか難しい(^_^;)。
昨今の低侵襲手術(ロボット手術、内視鏡手術など)の発達により手術は全体的に安全になりましたが、そうではない部分もあります。低侵襲手術は、体表面上は傷口が小さくなっていますが、これまでの手術と同様に悪い部分(臓器)を切除しているので、体内で身体が傷ついていることに変わりはありません。またお腹の低侵襲手術では、お腹の中に炭酸ガスをいれて膨らませ、体を前後左右に傾けて臓器を移動させながら手術をしています。従来の手術にはなかった侵襲がかかっているのです。これにともない循環や呼吸などにも影響が出ます。逆立ちをすると顔が真っ赤になって、呼吸が苦しくなるのを想像していただければイメージできると思います。このような手術中の様々な変化に対して、薬を投与したり麻酔器を調整したりすることで対応をしています。
手術をすることになった患者さんは不安と恐怖を感じておられることとお察しします。そんなみなさんの生命と安全を守るべく、手術室に関わるすべてのスタッフ(麻酔科医、看護師、臨床工学技士、助手)は力を合わせ、日々の業務に従事しています。
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